プライムビデオ「フィリップ・K・ディックのエレクトリックドリームズ」全話ガチレビュー【後編】

エレクトリックドリームズ 感想
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前回、amazonの定額動画配信サービスAmazonプライム・ビデオで観られる「フィリップ・K・ディックのエレクトリック・ドリームズ 予告編 (字幕版)」のレビュー前編を書きましたが…

プライムビデオ「フィリップ・K・ディックのエレクトリックドリームズ」全話ガチレビュー【前編】。1番おすすめの話はどれだ?

2018.03.24

今回はその続き。残りの5話の作品のさっくりとしたあらすじと個人的な本音レビューをお届けします。

フィリップ・K・ディックのエレクトリックドリーム全10話一挙レビュー!【後編】

6.「安全第一(Safe and Sound)」監督:アラン・テイラー(Alan Taylor)

「安全第一(Safe and Sound)」のあらすじ

舞台は近未来のアメリカ。国は発達したテクノロジーによる徹底した東部の管理社会都市「ハイテック」と、管理下に置かれることに抵抗する西部の小コミュニティ「バブルス」とに分断されていた。

「バブルス」出身の16才の主人公フォスター。バブルスに対する待遇改善を求める活動家の母親アイリーンと共に、交渉のために「ハイテック」に引っ越してくる。

管理社会都市「ハイテック」を象徴するのが、「デックス」と呼ばれる個人情報のモニタリング装置。デックスにより個人の情報や行動は管理および監視されているが、テロリストなど外部の脅威を防ぐためにハイテックの住人のほとんどは身につけている。

フォスターが転入した学校でも誰もがデックスを身につけており、デックスがなければ学校のセキュリティゲートを通り抜ける事も授業をまともに受けることすらできない。バブルスからやって来たフォスターは周りの生徒からも警戒され、孤独感を味わう。

疎外感に耐えきれず、母親に内緒でデックスを手に入れるフォスター。デックスの使い方がわからないフォスターは顧客サポート音声イーサンと会話をするうちに親しくなる。それはただの顧客サポートの域を超えた振る舞い。フォスターにとってイーサンは良き理解者のように思えたのだが…


「安全第一(Safe and Sound)」の感想

主人公はティーンネイジャー、そして学校が舞台なので、定番のSF学園物としての面白さがあります。
転入してきた主人公が周りの生徒から嫌がらせを受けたり、そんな時に助けてくれた一匹狼的な女生徒がいたり。
クラスを牛耳る女子やいじめっ子男子などなど。出てくるキャラ設定も割とベタ。
主人公が「みんながデックス(個人情報のモニタリング装置)を持ってるのに私だけ持っていないのは嫌!」みたいな10代特有の意識に囚われてるのもありがちですよね。

しかしこの話もまた遠い未来の話とは思えないリアルさがあり、そこは恐ろしさを感じます。

この話「安全第一(Safe and Sound)」を観ればすぐに分かると思うのですが、デックスは言ってみれば現代のスマホと同じ様なものなんですよね。

個人の位置情報、プロフィール、そしてクレジットカード情報を紐づければワンタッチで買い物もできるし、suicaなどの交通ICカード代わりに使う事も出来る。

そして全ての情報は一括で管理され、自分がいつどこで何をしてたかはもうバレバレ。

管理される社会の方が楽だからと迎合する大多数の市民と、それに反発し不自由な暮らしを送る少数派のコミュニティ。

これが現実のものとなるのはそう遠い未来では無いような気がします…。

原作:「人間以前」収録作品「フォスター、お前はもう死んでるぞ(Foster, You’re Dead)」

7.「父さんに似たもの(The Father Thing)」監督:マイケル・ディナー(Michael Dinner)

「父さんに似たもの(The Father Thing)」のあらすじ
少年チャーリーは野球の話をしたりキャッチボールをしてくれる父親が大好きだった。ある日そんな父と2人でキャンプに出かけ、夜中に隕石が落ちるのを見る。その夜を境に父親はまるで異星人に乗っ取られたかのような奇行を見せるように。ネットで調べると父親と同じ様な状態になっている人々が大勢いることが話題になっていた。友人に相談したチャーリーは危険な父親を何とか倒そうと画策する。

「父さんに似たもの(The Father Thing)」の感想
フィリップ・K・ディックのエレクトリック・ドリームズ 予告編 (字幕版)」全10話のなかでもっとも“わかりやすい宇宙人もの”がこの作品。

私の読みが浅いのか?「お父さんが宇宙人に乗っ取られたぞー!やっつけるぞー!」っていうだけの少年たちのお話と言いますか。

同じく異星人に家族が体を乗っ取られた系の話、第3話の「人間らしさ(Human is)」とは違い、乗っ取られ後の変貌ぶりがこの「父さんに似たもの(The Father Thing)」は分かりやすすぎる…笑。顔の皮膚の表面が何かが入ってるみたいにうねうねって動いたり、こっそりのぞいたら父が口から光線出し取るんですよ。だって。

つまらないわけではないですが、この作品だけはちょっと異質かな?子供向けのエイリアン活劇風です。

原作:「時間飛行士へのささやかな贈物」収録作品「父さんに似たもの(The Father Thing)」

8.「ありえざる星(Impossible Planet)」監督:デイビット・ファー(David Farr)

「ありえざる星(Impossible Planet)」のあらすじ
地球が消滅し人類はすでに他の星に散らばり移住している未来の話。宇宙旅行代理店を経営する2人の男、ノートンとアンドリュースのもとに余命わずかな342歳の老女イルマと介助ロボットが訪れる。イルマは破格の金額を用意し自分を地球旅行に連れて行って欲しいと2人に頼む。うだつの上がらない旅行ガイドの2人は大金欲しさに仕事を引き受け、まったく違う星を地球だと偽りイルマをツアーに連れて行く。イルマは祖父母から聞かされた地球の美しい川で泳いだ話が忘れられず、自分もそこに行きたいのだとノートンに語る。ノートンも彼女の話を聞くうちに不思議な縁を感じ始めるのだが…。

「ありえざる星(Impossible Planet)」の感想
まるでおとぎ話のような、切なくてかわいい話です。祖父母から聞かされた地球に憧れを抱き続け、死ぬ前に一度訪れたいと旅行に出かける純粋な老女イルマ。地球はもうないと知りながらも、金に目がくらみ地球旅行に連れて行くガイド2人。

イルマと対話するうちに、ガイドの1人、ノートンは何だか自分がイルマに恋をしているかのような感情を抱きはじめるんですね。その理由は最後の方で明かされるのですが、ネタバレになるので詳しくは書きません。

他の作品のように社会的、倫理的な風刺やメッセージが込められているわけではありませんが、ほっこりする話です。

原作:「地図にない町 」収録作品「ありえざる星(Impossible Planet)」

9.「地図にない町(The Commuter)」監督:トム・ハーパー(Tom Harper)

「地図にない町(The Commuter)」のあらすじ
鉄道駅で駅員としてはたらく主人公のエド。家庭では手に余る精神障害の息子に悩まされている。

ある日、リンダという若い女性が駅に切符を買いに訪れる。彼女が告げた行き先は「メイコンハイツ」という存在しない駅名だった。
そんな駅は存在しないと告げようとすると煙に巻かれたように姿を消してしまうリンダ。それ以降も度々リンダは、メイコンハイツ行きの切符を買いに駅を訪れる。

他にも架空の町メイコンハイツへと向かう乗客がいることに気がついたエドは、意を決してリンダがいつも買う切符の列車に乗り込む。

エドが辿り着いた町、メイコンハイツはまるで絵に描いたような完全なる幸福が実現された世界。住人はすべて幸せに満ち溢れているように見えた。現実世界に戻ったエドは、息子の存在が自分の住んでいた現実の世界から消滅していることに気がつく。

「地図にない町(The Commuter)」の感想
雰囲気は個人的に1番好きなお話でした。未来などの完全なイマジネーションの世界が舞台より、現代が舞台のお話の方が感情移入しやすいのかも。

こんな世界もういやだ。争いももめごとも問題もない平和な世界で暮らしたい。現実世界で嫌なことが続くと、そう考えてしまうことは誰しもあるでしょう。

その願望が現実のものになったら果たしてどうだろう?というのがこの作品の問いかけるところ。

生きているといろいろあるけど、晴れの日もあれば雨の日もあるのがけっきょくは人間らしい生活なんじゃない?というメッセージが込められている様な気がします。

原作:「地図にない町 」収録作品「地図にない町(The Commuter)」

10.「よそ者を殺せ(Kill All Others)」監督:ディー・リース(Dee Rees)

「よそ者を殺せ(Kill All Others)」のあらすじ
2054年、一党独裁制となったアメリカが舞台。工場で働く主人公のフィルバート。工場は完全に機械化されており、同僚は他に2人だけ。製品の検品作業の仕事をしている。ある日フィルバートは大統領選の候補者の女性がテレビで「よそ者は殺せ(Kill All Others)」と過激なヘイトスピーチをしているのを観る。ショックを受けたフィルバートは同僚や他の人に「あれを観たか」と尋ねるが、誰もその言葉には気がついていない。

しかし「よそ者は殺せ(Kill All Others)」というスローガンは街中の看板にも現れはじめ、そのスローガンに反発するフィルバートは「よそ者」としてみなされ、警察に追われることに。

「よそ者を殺せ(Kill All Others)」の感想
これもまた現代に起こり得る話。というか、実際に今の日本の状況を観ていると、もうこの「よそ者を殺せ(Kill All Others)」のような世界はすぐそこまで迫っているんじゃないかと思わされる。

ここまで露骨ではないにせよ。国のエライ人に不都合な存在はすべて消されたり牢屋に閉じ込められたり。発言や文書は改ざんされるし。

気がつけばとんでもない法案が通されようとしていたり。

国家に不都合な存在はよそ者とみなされ消される世界。半分ノンフィクションの様なものですね。この話は。

原作:「トータル・リコール」収録作品「吊されたよそ者(The Hanging Stranger)」

まとめ

今回ご紹介した「フィリップ・K・ディックのエレクトリック・ドリームズ 予告編 (字幕版)」。

面白いのはやはりそれぞれのストーリーが完全に独立していること。

原作者は同じだけど、ストーリーや世界観の作り方も特徴も原作の解釈もすべてそれぞれの監督や制作チームの色が出てて。観る人によってどの作品を気にいるかは変わってくるでしょう。また同じようなスタイルでシーズン2が始まればいいなあと思ってます。

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